「奥の院」とは?
「奥の院」(おくのいん)とは、お寺の中心的な建物である本堂よりも、さらに奥の方にあり、そのお寺のご本尊などが祀ってある場所のことを指します。
その名の通り、境内の奥深い場所にあるため、人目につきにくい場所にあることが多く、多くの人が立ち入ったりすることもありません。
そのため、その寺院でも、より神秘的な霊域として扱われています。
奥の院を持つ秩父札所
秩父札所三十四ヶ所にも、奥の院を持つ札所がいくつかあります。
一言で“奥の院”と言っても、秩父札所では、境内のすぐ裏手にある奥の院もあれば、本堂から歩いて30分以上もかかるような山の上にある奥の院もあります。
どの奥の院も、大きな功徳が得られそうな神秘的で魅力的な場所なので、各札所を訪れた場合は、素通りせずに訪れたいものです。
(1)秩父札所4番 金昌寺の奥の院
1319体もの石仏が並ぶ“石仏の寺”として知られる金昌寺は、境内の裏側に、奥の院 岩屋があります。
奥の院 岩屋には、弘法大使像が祀られ、他にもたくさんの石仏、大きな杉の木、岩から滴り落ちる水など…まさに奥の院と言える神秘的なスポットとなっています。
(2)秩父札所26番 円融寺の奥の院
円融寺の奥の院である岩井堂までは、円融寺の本堂から徒歩で約30分の場所にあります。
岩井堂は山の中にあり、その道中は、いかにも巡礼道らしい山道をたどっていくこととなりますが、お遍路気分をより強く味わうことができ、さらにハイキングコースから見える景色は絶景です。
札所二十六番から二十七番に行く際は、少し遠回りでも奥の院 岩井堂を経由して訪れるコースがおすすめです。
(3)秩父札所31番 観音院の奥の院
標高698mの観音山の中腹にある観音院には、1周約15分程度のミニハイキングコースとなっている東奥の院があります。
ハイキングコースには、弘法大師が爪で彫ったとされる十万八千仏(磨崖仏)など石仏群、見晴らし台、松尾芭蕉の句碑などの見どころもあります。
(4)秩父札所32番 法性寺の奥の院
奈良の大仏”造営の責任者を務めたとされる行基が開創したと伝えられている法性寺。
この法性寺の奥の院には、岩盤の上に立つ岩船観音(お船観音)があり、秩父札所のハイライトにもなっています。
また、崖の鎖場の上にまつられた大日如来などもあり、標高100m以上もの高さの崖から見える秩父の山並みはとても美しく、まさに絶景。
大きな功徳を得ることができそうな場所ですが、体力に自信のない方や、高所恐怖症の方には決してオススメできません。