この記事では、秩父札所31番・観音院(かんのんいん)について、その歴史・見どころ・御朱印・地図・近隣の観光・宿泊施設について紹介しています。
観音院は、小鹿野にある観音山の山奥にあります。
札所三十番から徒歩で行く場合、約6時間もかかります。秩父札所巡りの終盤は、札所と札所の距離が遠いのも特徴です。バスを利用する場合は本数が少ないので、計画的にスケジューリングをする必要があります。
目次
秩父札所31番・観音院の歴史・由来
札所31番・観音院の御本尊は、聖観音で行基の作と伝えられています。
この聖観音は、伝説によれば、平将門の乱で行方が分からなくなってしまったとか。
しかし、その後、鎌倉時代に、幕府の御家人で秩父の領主だった畠山重忠がこの地に狩りに来た際に仏像を発見しました。
重忠は、家臣・本多次郎親常に命じて、遠くの鷲の巣に矢を射らせましたが、命中しているにもかかわらず矢が跳ね返ってきてしまったそうです。
不思議に思った重忠が、鷲の巣をおろしてみると、巣の中から行方が分からなくなっていた聖観音像が現れました。
そして、重忠がその観音像を安置するのために観音堂を建立したことが、この寺の始まりと伝えられています。
崖の上に建つ観音院の納経所。掲げられている観音霊験記には、この本多次郎親常のエピソードが描かれています。
秩父札所31番・観音院の御本尊
御本尊である聖観音菩薩は、行基の作であったと伝えられています。
その後、焼失してしまい、現在の御本尊は、江戸末期の作です。
秩父札所31番・観音院の見どころ
仁王門
山門は、三間一戸・鉄板葺切妻造り。
金剛力士像
山門の巨大な金剛力士の石像は、台石を含めると4mと巨大です。
厄除の石段
仁王門から境内までは標高差が50m以上もあり、約300段にも及ぶ「厄除けの石段」を登ります。
石碑を見ながら、草木に囲まれた急な石段の坂を15分ほど登り、境内を目指します。
観音堂
切り立った岩山に囲まれた観音堂は、いかにも修行の場といったたたずまい。
昭和47年(1972年)建築。
聖浄の滝
本堂の脇には、かつて修行にも使われていたという聖浄の滝があります。
その落差は約30m。
滝つぼのそばには、修験道において主要な崇拝対象であった不動明王の像も見ることができます。観音院は、現在は曹洞宗ですが、江戸時代までは、修験道の修行場でした。
爪彫り千仏体
聖浄の滝の左手の岩壁には、弘法大使が彫ったという「爪彫り千仏体」があります。正式には「鷲窟磨崖仏(しゅうくつまがいぶつ)」といい、埼玉県指定文化財となっています。
古代の地層
納経所の裏には、古代の地層が見える場所も。
奥の院
観音院には、東西2つの奥の院があり、ミニハイキングコースになっています。しかし、現在、西側は崩落により封鎖され、現在行けるのは東奥の院のみとなります。
東奥の院は、納経所の脇から入ります。展望台・石仏群・芭蕉句碑などがあり、山頂へ続きます。
渋沢誠室書の石碑
大河ドラマや新1万円札でもお馴染み渋沢栄一の伯父・渋沢宗助氏の書による石碑。養蚕家だった宗助は、書も堪能で渋沢栄一にも教えたとか。宗助氏は、別名で「誠室」と名乗っていました。
秩父札所31番・観音院の御朱印
秩父札所31番・観音院の御詠歌
みやま路を かきわけ尋ね 行きみれば 鷲の岩やに ひびく滝つ瀬
“みやま路(深山路)”とは、深い山の中の道のことです。
秩父札所31番・観音院の基本情報
宗派 | 曹洞宗 |
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本尊 | 聖観世音菩薩 |
住所 | 埼玉県秩父郡小鹿野町飯田観音2211 |
納経時間 | AM8時~PM5時(11月~2月はPM4時まで)※12時~12時30分はお昼休憩。 |
無料駐車場 | あり |
アクセス | (1)秩父札所31番・法雲寺から徒歩で約6時間。 (2)西武秩父駅から西武観光バス・栗尾行き「栗尾」で下車。さらに徒歩で約1時間(山門まで45分、山門から本堂まで約15分) |
秩父札所31番・観音院の地図
秩父札所31番・観音院の近くのグルメスポット
観音茶屋
バス停「栗尾」から、観音院に向かう道中にある唯一のご飯どころ。名物の観音そばや観音うどん、ご当地の食材を使った御膳や一品物などラインナップも豊富です。
TEL | 0494-75-0907 |
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営業時間 | 10時~16時まで(ラストオーダー15:30) |
定休日 | 無休(冬季降雪の場合、臨時休業あり) |
住所 | 埼玉県秩父郡秩父郡小鹿野町飯田2359 |
公式HP | https://www.omise-land.com/kannonchaya/ |
観音そば(野菜天ぷら/税別950円)。春を感じさせる“ふきのとうの”の天ぷらも♪
秩父札所31番・観音院の近くのおすすめ観光スポット
「鬼滅の刃」竈門炭次郎が切った大岩
観音院の近くには、アニメ『鬼滅の刃』の物語の序盤、主人公・竃門炭治郎(かまどたんじろう)が修行で切った大岩に似た岩があります。観音院の山門付近の駐車場から大岩へは、約3分ほど。興味のある人にとってはたまらないスポット?