「琴平丘陵ハイキングコース」は、琴平丘陵の尾根を歩く人気のハイキングコースです。
自然豊かな秩父の低山ハイクを気軽に楽しむことができ、4月~5月の新緑の季節は、特にオススメです。
また、ハイキングコースのスタート/終着点でもある羊山公園では、ゴールデンウィーク期間中は“芝桜まつり”が開催され、見頃を迎える芝桜や特産市(屋台)を楽しむことができます。
休日は、琴平丘陵ハイキングコースで緑豊かな自然と爽やかな空気に触れて、その後は、秩父市街地でグルメを満喫するのはいかがでしょうか?日頃のストレスや疲れを癒されること間違いなし♪
この記事では、秩父鉄道・影森駅をスタート地点に、秩父札所26番・奥の院を経由し、琴平丘陵ハイキングコースで羊山公園に向かうコースを紹介します。
琴平丘陵ハイキングコースについて(影森駅スタート→羊山公園ゴール)

琴平丘陵ハイキングコースについて(影森駅スタート→羊山公園ゴール)
琴平丘陵ハイキングコースは、秩父市街地にある羊山公園から秩父札所27番・大渕寺まで続く約8㎞に渡るハイキングコースです。
スタート地点やルートを少し変更することで、様々な楽しみ方ができるのも魅力の1つです。
今回は、スタート地点を秩父鉄道・影森駅として、途中、秩父札所の巡礼道を経由しながら平丘陵ハイキングコースに入り、羊山公園を目指すコースを紹介します。
このコースは、ゴールの羊山公園が秩父市街地にあるので、都心部から電車で訪れる方にとっては帰りの電車にスムーズに乗ることができたり(時間の調整がしやすい)、午後や夕方は秩父市街地でグルメや観光を楽しむことができて効率的に時間を使えるといったメリットがあります。
▶スタート地点となる秩父鉄道・影森駅は、電車の本数が1時間に1・2本と本数が多くありません。そのため、影森駅まで電車で訪れる場合は、よく電車を調べておく必要があります。西武秩父駅から影森駅まで歩くと30分ほどかかるため、影森駅まではタクシーを利用するなどの方法もあります。
(1)順路と時間
影森駅をスタート地点として、秩父札所26番・奥の院を経由し、ゴール・羊山公園を目指します。
所要時間は、途中、ちょっとした休憩などを挟むことを考えると、約2時間半~3時間ほどです。

(2)ポイントスポット
秩父札所26番 奥の院 岩井堂

岩井堂は、かつての秩父観音霊場34か所の1つ。舞台づくりとなっている観音堂は、まるで清水の舞台を思わせます。あの弘法大師によって護摩修行のために建てられた観音堂とされていますが、現在は無人となっています。
尚、御朱印を集めている方は、スタート地点・影森駅付近にある秩父札所26番・円融寺でいただくことができます。(▶秩父札所26番・円融寺に関する情報はコチラ)
長者屋敷跡

江戸時代に編纂された「新編武蔵風土記稿」によると、かつてこの場所には、北条氏邦の家来・滋野刑部が住んだ屋敷があったといいます。石碑の横には、屋根付きの小屋があります。ハイキングの途中に休憩をしたり、昼食を食べたりするのにちょうど良い場所です。
羊山公園・芝桜の丘公園

秩父の芝桜まつりは、毎年、ゴールデンウィークの頃に開催されるイベントで、期間中は、約80万人もの観光客が全国から訪れます。会場となる羊山公園「芝桜の丘」には、10種類・約40万株以上もの芝桜が植えられ、シーズンの4月の中旬頃から色鮮やかな花を咲かせます。
(3)ハイキングの注意点
食事・飲み物
琴平丘陵ハイキングコースの道中には、売店や自販機がありません。必ず、出発前に飲み物(ペットボトル500ml 1本以上)を購入しておきましょう。途中で、お弁当などを食べる予定がない人も、簡単に口にできるものがあると良いでしょう。
靴(登山靴や運動靴)
ハイキングとは言っても、低山登山を楽しむようなイメージです。登山靴や運動靴でないと、転倒してしまうような場所もあり。崖のような急こう配の道もありますので、必ず登山靴や運動靴を履きましょう。
着替え
登り道は急こう配なところも多数あり、汗をかきます。Tシャツや下着などの着替えを用意しておくと帰り道も心地よく帰れます。
クマ
ハイキングコースの途中、「クマ注意」の看板を見かけてドキッとする方もいるでしょう。不安な方は、事前にクマ除けの鈴を購入したり、秩父市のクマ目撃情報などをチェックしておきます。(▶リンク:秩父市「クマ目撃最新情報」)
虫
毒虫などはほとんどいませんが、季節によっては、ヘビなどを見かけるかもしれません。半袖の時期は、ハチ・虫刺されなどの対策として、虫除けスプレーをしておくと良いでしょう。
写真でめぐる琴平丘陵ハイキングコース(影森駅スタート→羊山公園ゴール)
(1)影森駅から、岩井堂へ
影森駅から昭和電工へ
スタート地点の影森駅から琴平丘陵ハイキングコースに入るためには、昭和電工・秩父工場の敷地内を通過し、岩井堂を目指します。影森駅から昭和電工までは、徒歩で5分ほど。のどかな雰囲気の住宅地を抜けて、まずは、昭和電工の受付入口を目指します。

住宅地の中には、目印となる「昭和電工」や「秩父札所26番 奥の院 岩井堂」への案内なども点在しているので、意外と迷わず進むことができます。

昭和電工の受付入口。昭和電工さんは、一般の企業です。必ず守衛さんに「ハイキングコースに行きます」と声をかけてから敷地内に入りましょう。

昭和電工の敷地を進み、巡礼者の石段を登って、奥の院 岩井堂へ
昭和電工の広い工場敷地内を奥に進むと、琴平神社が見えてきます。歴史ある古い神社ですが、今回ここは参拝しません。

この琴平大神社の右側にある林道を真っすぐ進んでいくと、秩父札所26番・奥の院 岩井堂があり、琴平丘陵ハイキングコースに入ることができます。右側には、聖徳太子を祀る太子堂も。

しかし!林道の先には、長~い石段!そう、ここは、お遍路のための巡礼道。石段の数は、なんと320段以上。かなりの急こう配なので、滑って転倒しないように手すりを利用しましょう。

なんとか石段を上りきると、ようやく琴平丘陵ハイキングコースに入ります。ここは琴平丘陵ハイキングコースの途中地点。今回は左に進んで秩父市街地方面の羊山公園を目指しますが、右に進むと秩父札所27番・大渕寺に向かうコースとなります。

左側へ進むと、すぐに岩井堂が見えてきます。山の中に突如として現れる朱塗りの大きな観音堂は、舞台造りになっていて迫力がありますね。

ここから秩父市街地方面の羊山公園を目指す琴平丘陵ハイキングコースは、この岩井堂の階段を上り、堂の裏側を通り抜けていきます。
※この大きな岩を左手に行ってしまうと、まったく別の道へとつながりますので注意が必要です。
舞台からの眺めは、なかなかの趣。この岩井堂は、その昔、護摩修行のために造られた建物との言い伝えがあります。護摩修行とは、炎を焚いて祈祷を行い、火によって煩悩(苦の根元)を焼きつくす修行です。昔の修行者たちは、この舞台からどのような風景が見えていたのでしょうか?

岩井堂の裏手には岩窟となっていて、石仏や石塔が安置されています。

(2)岩井堂から、長者屋敷跡へ
岩井堂の真裏を通過し、尾根を上に進む
岩井堂の真裏をさらに奥へと進むと、尾根を上っていく細い石段があります。足場も十分に確保できないような石段なので注意が必要です。

ゴツゴツした岩場の道を進みます。尚、ハイキングコースの道中には、写真のようなピンクのテープを見かける場所があります。これは正しいハイキングルートであることを示す目印です。

大仏坐像
岩井堂からしばらく尾根を進んだところに、大きな聖観音の大仏坐像があります。

修験道の建物
さらに聖観音像の先を進むと、かつての修験道の建物が。中に入ります。

柱には、回転させると経文を唱えるのと同じ功徳を得られるとされる「摩尼車(まにぐるま)」がありました。ぐるりと一回転させましょう。

鉄製の細い階段を下りていきます。急こう配なので、ゆっくり手すりを使って降りましょう。

ようやく階段を降り切って、振り返ると…巨石!修験道は、岩の上に建っていたのですね。

少し平坦な道に。さわやかに吹く新緑の風が気持ちい。このあたりからは、秩父の名峰・武甲山を近くに感じることができます。

赤や黄色の鮮やかな花々が、緑色に映えますね。

長者屋敷跡
長者屋敷跡の石碑の横には、休憩にちょうど良い屋根付きの小屋が。ここで飲み物や昼食などを摂り、一息つきましょう。ただし、ここは通過点。ゴールとなる羊山公園まではここから1時間30分ほどかかります。

ちなみに、この長者屋敷跡は、正確には「長者屋敷」と言います。江戸時代に編纂された「新編武蔵風土記稿」によると、かつてこの場所には、北条氏邦の家来・滋野刑部が住んだ屋敷があったといいます。

(3)長者屋敷跡から、武甲山登山口の碑へ
長者屋敷跡で一息ついたら、出発!
この長者屋敷から武甲山登山口の碑までは、1時間弱。かすかに見える秩父市街地を横目に、進みます。

べっとく岩
ひときわ大きな岩には、「べっとく岩」と書いた木札が。

「べっとく」に、どのような意味があるか定かではありません。しかし、秩父は、古代の地層や岩を楽しむことができる地域でもあります。あの「ブラタモリ」(NHK)では、タモリさんが秩父に訪れ、その地層や岩石を楽しんでいました。(▶関連記事:『ブラタモリ』で紹介された秩父札所三十四ヶ所とは?)

大山祓神社(おおやまつみじんじゃ)
小さな祠。山を支配する神様が祀られています。

杉林をさらに進みます。

三角地点(398.8m)
ここは、標高398.8mの三角地点。琴平丘陵で、最も高い標高地点です。つまり、ここからは、どんどん山道を下っていくことになります。

クマ注意の看板
ちょっとドキッとしますよね。不安な人は、事前にクマ除けのための鈴(すず)などがあると安心かもしれません。一般的にクマは、人の存在に気付くと逃げることが多いので、鈴を鳴らしてクマに知らせるために鈴を鳴らして、自分の存在をクマに知らせます。

「山の神」のお社
山道を下りきると、やや開けた平坦な場所に出ます。案内板もありますが、このお社を目印に、右の道へ曲がります。

押堀川
川のせせらぎが心地よいマイナスイオンでまくりの場所へ。ここは押堀川(おしぼりがわ)の上流あたり。

武甲山裏山道の石碑
押堀川の小さな橋を渡りきると、開けた場所へ出ます。

ここは、武甲山の旧裏参道。かつては登山道の1つとして使われていましたが、現在は通ることが出来なくなっています。この石碑のある場所へ出たら、左手に進みます。

(4)武甲山登山口の碑から、羊山公園へ
武甲山登山口の碑から羊山公園へは、約15分ほど。ゴールまであと少し。舗装された道路や平坦な道が続きます。

この辺りは、一般の民家があり、車なども通れるようなアスファルト道路の場所も。

ゴールは近い…と思いきや、途中、またクマ注意!の看板も。

もうひと踏ん張りして、やや上り坂の林道を進んでいくと、再び平坦な道へ。

どんどん木の高さも下がってきて、空が開けて明るくなってくる感じがします。

かなり開けてきました。まもなくゴールです!

振り返れば、さっきは近くにあると感じていた武甲山も、あんなに遠くに。

そう、ここは、ゴールの羊山公園・芝桜の丘。お疲れさまでした!菜の花も、ゴールを祝福してくれているようですね。

この羊山公園・芝桜の丘には、10万株もの芝桜が植えられ、ゴールデンウィークシーズンに見頃を迎えます。その景色は圧巻です。
【イベントINFO】
▶2023/4/14(金)~5/7(日)の期間は、芝桜まつり2023が開催中!会場内で同時開催されている「ちちぶマルシェ」では、屋台グルメも楽しむことができます。
詳しくは、こちらの記事でチェック!

まとめ
さて、この記事では、琴平丘陵ハイキングコース「影森駅スタート→羊山公園ゴール」について紹介しました。
気軽に楽しめるハイキングコースですが、途中には山道らしい場所もいくつかあり、また、所要時間も2~3時間とほどよく、充実感を味わうことができます。
この記事を参考にしていただきながら、しっかりと準備をして琴平丘陵ハイキングコースを楽しんでいただければ幸いです。
そして、ハイキングで大自然を満喫楽したあとは、秩父市街でグルメ・地酒・温泉を楽しむのもいいですね♪