この記事では、秩父札所16番・西光寺(さいこうじ)について、その歴史・見どころ・御朱印・地図・近隣の観光宿泊施設について紹介しています。
西光寺は、札所15番・少林寺から徒歩で約20分の場所にあります。
札所15番・少林寺から秩父神社の門前に向かい、門前の道を左に真っ直ぐ進んで行くと、札所16番・札所17番の方向を案内してくれる道標石が見えてきます。道標石や案内板を確認しながら、16番へ向かいましょう。
目次
秩父札所16番・西光寺の歴史・由来
札所16番 無量山 西光寺(むりょうざん さいこうじ)は、その起源については詳しく明らかにはなっていません。
秩父札所は禅宗のお寺が多い中で、西光寺は珍しく真言密教のお寺です。かつては京都にある真言宗御室派総本山・仁和寺の支配下にあるお寺だったようです。
創始は不明ですが、長享番付にはすでにその名が記されていることから、室町時代の末期には存在していたことになります。その後、江戸中期には境内の中に数々のお堂が整えられ、お寺として栄えていたとされています。
秩父札所16番・西光寺の御本尊
御本尊の千手観音は、奈良時代の高僧で“奈良の大仏”建立の責任者でもあった行基(ぎょうき)の作と伝えられています。
伝説では、西光寺の僧・圓比丘(えんびく)が老婆の霊を成仏させるために供養を行ったところ、他のお寺からこの観音様を授かり、御本尊としたされています。
本堂の脇に掲額されている観音霊験記の絵図には、そのエピソードが描かれています。
老婆の霊は、「私は生前欲深であったため、未だに浄土に入れない。どうしたものか」と尋ねると、圓比丘は小刀と楠(くすのき)を与え「仏像を作りなさい」と教え、老婆を成仏させました。
秩父札所16番・西光寺の見どころ
棟門(むねもん)形式の山門
額が掲げられ堂々としたたたずまいの棟問形式の山門。
棟門とは、公家・武家の邸宅・寺院の塔頭などに用いられた屋根付きの門のことをいいます。
江戸時代築の本堂
本堂は、江戸時代の宝永7年(1701年)の建立とされています。生類憐れみの令などで知られる徳川綱吉が将軍を務めていた時代からの建築物です。
本堂の中には、本尊の千手観音のお前立ち像や、大きな金色の釈迦涅槃像の彫刻、室町期の愛染明王像なども見ることができます。
また、堂内には、三方壁の隠し部屋も残っているようですが、残念ながら拝観することはできません。
回廊堂(かいろうどう)
本堂右手にある回廊堂には、四国八十八箇所霊場の本尊を模した仏像が順番に並んでいます。
この回廊を巡ると、四国八十八箇所を巡るのと同じ功徳が得られ、観音様の功徳と共に弘法大師のご利益も得られると言われています。
最近では、テレビなどにも取り上げられ、多くの方たちが訪れるようになりました。
この回廊堂は、江戸時代の天明3年(1783年)に起きた浅間山の大噴火によって失われた人々の鎮魂のために造られたそうです。
門前には、その由緒について説明している碑があります。
秩父札所で唯一現存する礼堂(ふだどう)
どこかさみしげな印象も受ける礼堂は、江戸時代に現在の本堂が建立される以前、本堂として利用されていました。
室町時代の建築様式の礼堂は、秩父札所で唯一現存する礼堂で、秩父札所巡り成立期の姿を伝える貴重なものとされています。
現在、「納札」は“紙のお札”となっていますが、当時は“木製”の納札を釘などで打ち付けて奉納していたようで、堂内の柱には無数の釘跡などが見られます。
ちなみに札所巡りをすることを“打つ”と呼ぶこともありますが、これは納札を“打つ”ことに由来すると言われています。
酒樽大黒天(さかだるだいこくてん)
茅葺き屋根がインパクト大の酒樽大黒天には、大黒天像が安置されています。
この酒樽は大正時代に造られたもので、1日3合ずつ飲んだ場合は30年分の量が入る酒樽だそう。
そして、気になるのは、比較的最近のものと思われる無数のビジネス名刺でしょう。
七福神として知られる大黒天は、戦闘と財福の仏様として知られていますが、西光寺の大黒天様は、特に、商売繁盛のご利益を得られることで有名です。
また、勝運上昇、子孫受育といったご利益もあるとか。
ちなみに大黒天の隣には、秩父夜祭で使われる山車(だし)も。
金毘羅大権現
毎年4月10日は、金毘羅様縁日として、この堂内で大護摩修行が行われます。
筆小塚
西光寺は、かつて子供たちに学問を教える寺子屋でした。
宝篋印塔(ほうきょういんとう)は、子供たちが師匠のために建てたものとされ、“筆小塚”と呼ばれています。
仏足石
仏足石(ぶっそくせき)は、お釈迦様の足跡を石に刻んで、信仰の対象としたものです。
秩父札所16番・西光寺の御朱印
真ん中の文字は、本尊である“千手観音”を意味する梵字“キリク(キリーク)”
秩父札所16番・西光寺の御詠歌
西光寺 誓いを人に 尋ぬれば ついの住家は 西とこそ聞け
秩父札所16番・西光寺の基本情報
基本情報
宗派 | 真言宗豊山派 |
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本尊 | 千手面観世音菩薩 |
住所 | 埼玉県秩父市中村町4−8−21 |
納経時間 | AM8時~PM5時(11月~2月はPM4時まで)※12時~12時30分はお昼休憩。 |
無料駐車場 | あり |
アクセス | (1)札所15番・少林寺から徒歩で約20分 (2)西武秩父駅から徒歩で約30分。 (3)秩父駅から徒歩で約20分 (4)御花畑駅から徒歩で約25分 |
西光寺の駐車場
こちらは、西光寺の駐車場案内図です。
秩父札所16番・西光寺の地図
秩父札所16番・西光寺の近くのホテル・旅館
西光寺は、秩父市街地にあるため、宿選びに困ることはないでしょう。この記事では、西光寺から特に近い距離にある人気のおすすめ宿を紹介します。
第一ホテル秩父
●画像:じゃらんnet
秩父鉄道・秩父駅のすぐ目の前にある立地とリーズナブルさが、第一ホテル秩父の魅力です。秩父駅前には多数の飲食店やお土産屋さんもあるので、利便性もバッチリです。