・秩父で寺社巡りをしているけど、仏像の知識がなく種類や違いが分からない!
・仏像の基本的な知識を身に着けて、秩父札所巡りをもっと楽しみたい!
・秩父札所巡りの道中で、どんな仏像たちに会えるのか知りたい!
秩父札所巡りでは、各札所やその道中でさまざまな仏像たちに出会います。
しかし、仏像は気になるけど、「実は、仏像の種類やその違いについてはよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、秩父札所巡りのお先達である当サイト管理人も、仏像についての知識がほとんど無いまま何年も札所巡りを行っていました。
そこで、この記事では、秩父札所巡りの道中で出会う仏像たちを取り上げ、仏像の基礎知識を紹介しています。たくさんの種類がある仏像にも、それぞれに明確な役割やご利益などの違いがあります。その違いを理解することで、秩父はもちろんのこと、お寺巡りの楽しみが何倍にも増えますよ♪
目次
秩父札所の仏像について
秩父札所の御本尊
(画像:札所1番・四萬部寺の御本尊「聖観音菩薩」の御前立)
各札所の御本尊(ごほんぞん)として祀られている仏像は、ほとんどが「聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)」です。札所三十四ヶ所のうち、実に21寺が聖観音菩薩を御本尊としており、次いで「十一面観音菩薩」が6寺・「千手観音菩薩」が3寺・「如意輪観音菩薩」が2寺・「准胝観世音菩薩」と「馬頭観音菩薩」が1寺となっています。
ちなみに、“御本尊”とは、そのお寺・お堂の中で最も重要な信仰対象となる仏像等のことをを言います。御本尊は、普段、厨子に納められており一般の人が見ることができない“秘仏”となっています。その代わりに御本尊の厨子の前に「御前立」(おまえだち)と呼ばれる仏像が安置されることも一般的です。
観音霊場巡りの「観音様」とは?
(画像:札所34番・水潜寺にある三十三観音の石仏)
日本百観音の1つである秩父札所の御本尊は、すべて「観音菩薩」です。観音菩薩は、正しくは「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」、「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」と言います。いわゆる“観音様”のことで、仏様の一種でもあります。
観音菩薩は、あの世ではなく、この世(現世)での願いを叶えてくれる「現世利益」をもたらすとされ、古くから多くの人々に信仰されてきました。
また、観音菩薩は、衆生救済のために三十三の姿に変化するとされています。秩父札所の御本尊として最も多い「聖観音菩薩」は観音菩薩の基本形の姿で、あらゆる願いを聞き入れるために、さまざまな姿に変化をすると考えられています。そして、この“三十三”という数字が、西国三十三ヶ所や坂東札所三十三ケ所などに代表されるように観音霊場巡りの札所の数となったのです。
ちなみに、秩父札所も、もともとは三十三ヶ所でした。しかし、“西国・坂東・秩父と合わせて九十九観音よりも百観音のほうが良いだろう“という理由で、室町時代の末期に現在の2番札所・真福寺が加えられ、現在の三十四ヶ所になったと伝えられています。
仏像の基礎知識
観音菩薩は、仏様の一種である「菩薩(ぼさつ)」の一種です。仏様の種類には、大きく分けて、「如来(にょらい)」・「菩薩」・「明王(みょうおう)」・「天(てん)」の4つの種類があります。さらに、この4種類の仏様の中にも、それぞれに数多くのタイプを持ち、それぞれ役割やご利益なども異なります。そこで、ここからは秩父札所で出会うことができる仏像たちの情報・画像なども交えながら、“仏像の基礎知識“を紹介していきます!
1)如来
「如来」は、悟りを開いた仏様のことを言います。「菩薩」・「明王」・「天」を含めた4種類の中では最も位の高い仏様です。パンチパーマのような髪型(螺髪)や、シンプルな納衣が特徴です。
釈迦如来
(画像:札所1番・四萬部寺にあるお里帰りのお釈迦様像)
「釈迦如来(しゃかにょらい)」は、お釈迦様がモデルとなった仏様です。両足を組みながら思索にふける“坐像(ざぞう)”のものが一般的ですが、誕生した時の姿を表した“誕生仏“や、厳しい修行の様子に耐える“苦行像”、亡くなったときの姿を表した“涅槃像”など、生涯のエピソードに合わせて数々のタイプがあります。
秩父札所では、1番・四萬部寺の境内にある“お里帰りのお釈迦様“を見ることができます。
阿弥陀如来
(画像:楽天市場リンク)
「阿弥陀如来(あみだにょらい)」は、西方極楽浄土の守り主とされている仏様で、“南無阿弥陀仏”と唱えると誰でも極楽浄土に連れて行ってくれるとされています。
秩父札所では、8番・西善寺の本堂の中央に阿弥陀如来が安置され、その右側には勢至菩薩・左側には十一面観音菩薩が脇侍する“阿弥陀三尊”を見ることができます。
大日如来
(画像:札所32番・法性寺の奥の院にある大日如来像)
「大日如来(だいにちにょらい)」は、密教世界の絶対的存在に位置し、すべての仏は大日如来の化身であるとされています。密教は、弘法大使=空海が広めた仏教の宗派の1つですね。大日如来は、他の如来とは異なり、宝冠やアクセサリーを身に着けているのも特徴です。また、金剛界大日如来像は、知恵を象徴する手印(手で忍者のようなポーズをとる姿)も特徴です。
秩父札所では、32番・法性寺の奥の院で、崖の鎖場の上に祀られた大日如来を見ることができます。
薬師如来
(画像:楽天市場リンク)
「薬師如来(やくしにょらい)」は、東方浄瑠璃世界と呼ばれる浄土があるとされ、その守り主とされています。“薬師”という名前の通り、あらゆる病を治してくれる仏様でもあります。他の如来は手に何も持たないのが特徴ですが、薬師如来は薬の入った“壺”を持っています。
秩父札所13番・慈眼寺の境内には薬師如来が祀られた薬師堂があり、特に“目の病気”にご利益があるとされています。
2)菩薩
「菩薩」は、まだ悟りを開いていない仏様のことで、自身も修行をしながら人々を救う役目を担っています。如来とは対照的に、冠やきらびやかな装飾品や衣服を身に身に纏っているのも菩薩の大きな特徴の1つです。その姿は、若き日のお釈迦様がモデルになっているとも言われています。
観音菩薩
(画像:札所20番・岩之上堂の御本尊「聖観音菩薩」の御前立)
「観音菩薩」は、さまざまな菩薩の種類がある中でも最も基本的な姿と言えます。「正観音菩薩」「聖観音菩薩」とも言われますが、現世利益があるとして多くの人々から信仰され、現在でも“観音さま”として人気です。阿弥陀如来の1番弟子とされていますが、仏像安置形式の“阿弥陀三尊“は、阿弥陀如来を中心に左側が勢至菩薩・右側が観音菩薩が脇侍するものです。特徴として右手は下げたまま天衣をつまんでいる姿が一般的です。
秩父札所では、この観音菩薩を御本尊とする札所が大半を占めていますが、通常はいずれも秘仏となっていて直接拝むことはできません。
勢至菩薩
(画像:楽天市場リンク)
「勢至菩薩(せいしぼさつ)」は、「観音菩薩」と同様に阿弥陀三尊のうちの1つです。勢至菩薩は、宝冠に水瓶をつけているのが特徴で、この水瓶の中には人々の願いを叶える功徳水がなみなみと入っているとされています。
秩父札所では、1番・四萬部寺の境内にある「八体佛」の中の1つとして確認することができたり、18番・神門寺の境内にある「蓮華堂」の中にもその像を拝むことが出来ます。
十一面観音菩薩
(画像:札所8番・西善寺の御本尊「十一面観音菩薩」の御前立)
「十一面観音菩薩」は、その名の通り頭部に11面の顔を持つ観音菩薩です。11の顔の表情は異なり、優しい表情(慈悲面)・怒りの表情(瞋怒面)・大笑いの表情(暴悪大笑面)など…11の顔を使い分けて、さまざまタイプの異なる人の悩みを解決するといわれます。病気をしないといった現世の利益から、地獄に堕ちないなど死後の利益を得られることから、多くの民衆の信仰を集めました。蓮華がささった水瓶を持っているのも特徴で、この中には穢れ(けがれ)を清める霊水が入っているとされています。
秩父札所では、4番・金昌寺、7番・法長寺、8番・西善寺、11番・常楽寺、15番・少林寺、17番・定林寺の6寺が、この十一面観音菩薩を御本尊としています。
千手観音菩薩
(画像:札所16番・西光寺の御本尊「千手観音菩薩」の御前立)
「千手観音菩薩」は、その名の通り千本の手を持つ観音菩薩です。その昔、“千”という数字は無限を意味する数字でした。世界の人々すべて救済したいと願い、その姿になったとされています。またそれぞれの手のひらには眼がついているとされ、正式名称は「千手千限観音自在菩薩」とも言われています。
仏像では、実際には40本の手であることが多く、1本の手で25の世界を救う(40×25=1,000)と言われています。その手には、宝剣・弓矢・斧などの武器など様々なものが握られています。
秩父札所では、16番・西光寺、19番・龍石寺の2寺が、この千手観音菩薩を御本尊としています。
如意輪観音菩薩
(画像:札所9番・明智寺の御本尊「如意輪観音菩薩」の御前立)
「如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)」は、智慧(ちえ)・財宝・福徳授与・安産などのご利益を恵んでくれる観音様として知られています。“如意輪“とは、人々に財をもたらすとされている「如意宝珠」という容器と、煩悩を打ち砕くとされる「法輪」を持っていることに由来しています。膝に肘をついて、頬杖をつく“思惟(しゆい)”のポーズが特徴的です。また、右足を立てながら足裏で左足を押さえるポーズは、輪王座(りんのうざ)というスタイルです。右足は仏・左足は自己の象徴とされ、“仏の智慧で自己を律する”という意味を持ったポーズなのです。
秩父札所では、9番・明智寺、30番・法雲寺の2寺が、この如意輪観音菩薩を御本尊としています。
馬頭観音菩薩
(画像:札所28番・橋立堂の御本尊「馬頭観音菩薩」の御前立)
馬頭観音菩薩は、その名の通り、馬があしらわれた頭部が特徴的です。そして、この馬が煩悩をく尽くすとされています。また、馬頭観音菩薩の大きな特徴は、怒りの形相です。一般的に、観音様と言えば優しくおだやかな表情をしていますが、この馬頭観音菩薩は、世の悪事を戒めるために怒りの表情をしているのです。立像・座像などもありますが、午などにまたがった像などもあります。馬は、その昔、交通の手段であったことから、“交通安全”の神様として崇められたり、農耕馬や競馬などの神様としても崇められてきました。
秩父札所では、28番・橋立堂が、この馬頭観音菩薩を御本尊としています。
准胝観世音菩薩
(画像:札所5番・語歌堂の御本尊「准胝観世音菩薩」の御前立)
「准胝観音菩薩(じゅんていかんのんぼさつ)」は、無数の仏様を生み出すとされ“仏の母“として知られる観音様です。真言宗では、聖観音菩薩・十一面観音菩薩・千手観音菩薩・如意輪観音菩薩・馬頭観音菩薩、そして、この准胝観世音菩薩の6つが「六観音」と呼ばれています。
秩父札所では、5番・語歌堂が准胝観世音菩薩を御本尊としています。
弥勒菩薩
(画像:楽天市場リンク)
「弥勒菩薩(みろくぼさつ)」は、お釈迦様の後継者として、すでに悟りを開くための修行を終えている菩薩です。お釈迦様が入滅してから56億7千万年後、如来となって地上に降り立ち人々を救うとされています。右手を頬に近づける“思惟(しい)”、片足をもう一方の足にかけて座る“半跏倚座(はんかいざ)”のポーズが大きな特徴です。
秩父札所では、12番・野坂寺の境内にある十三佛堂で弥勒菩薩を見ることができます。
普賢菩薩
(画像:楽天市場リンク)
「普賢菩薩(ふげんぼさつ)」の“普賢”とは、「すべてにわたって賢い者」という意味を持ち、世界のあらゆる場所に現れては理性・知性・慈悲の力によって人々を救ってくれる菩薩様です。方角と干支を司る“八体仏”の1つでもあり、普賢菩薩は辰年・巳年生まれの守護本尊とされています。
秩父札所では、12番・野坂寺の境内にある十三佛堂や、18番・神門寺の境内にある蓮華堂で見ることができます。また、札所11番・常楽寺ではこの普賢菩薩を祀っており、毎年4月20日には「普賢大菩薩縁日」が行われ、特別な祈祷などが行われます。
虚空蔵菩薩
(画像:楽天市場リンク)
「虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)」の“こうくうぞう”とは、宇宙のように無限の広がりを持った智慧と慈悲を兼ね備えることを意味しています。この虚空蔵菩薩を信仰すると記憶力が高まると言われ、若き日の空海は、この虚空蔵菩薩を崇めて修行に励んだと言います。このことから転じて、現代においても受験生の神様として崇められています。
秩父札所では、1番・四萬部寺の境内にある八体佛の1つとして、また12番・野坂寺の境内にある十三佛堂で見ることができます。また、秩父札所ではありませんが、秩父十三仏霊場の1つである虚空蔵寺は、虚空蔵菩薩を御本尊とするお寺で、毎年1/12~13は夜通しで縁日が行われるお祭りが有名です。
3)明王
「明王(みょうおう)」の特徴は、何と言っても怒りの表情です。また、剣などの武器を持っている点も特徴の1つです。人々を威圧することよって、人々を煩悩から救ってくれるのです。
不動明王
(画像:札所22番・童子堂の境内にある不動明王像)
「不動明王」は、仏様の中では最も格の高い大日如来が、煩悩におぼれる人々を叱りつけて力づくでも救うために変身した姿と言われています。右手に持つ宝剣は人々の煩悩や憎しみを切り捨てるために、左手に持つ羂索(けんじゃく)という投げ縄は道に迷う人々を縛り付けるためのものです。また、「火焔光(かえんこう)」と呼ばれる向背の炎は、悪を焼き尽くすためのものとされています。
秩父札所では、22番・童子堂の境内や、札所31番・観音院の境内等で見ることができます。
烏枢沙摩明王
(画像:札所13番・慈眼寺の境内にある烏枢沙摩明王像)
「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」は、不浄なものを焼き払い浄化させる魔除けの神様です。そのため、現代では“トイレの神様“として知られていますが、金運上昇・商売繁盛・安産成就などのご利益もあるとされています。
秩父札所では、12番・野坂寺や、札所13番・慈眼寺の境内で見ることができます。
4)天
「天」は、仏様たちの守護神的な存在です。のちに仏教に取り込まれてしまう古代インドの神さまたちも、このグループに分類されています。
毘沙門天
(画像:楽天市場リンク)
「毘沙門天(びしゃもんてん)」は、七福神の1つ。戦の神様として知られる一方、財福をもたらす神様としても知られています。手には武器や宝が出てくるという宝搭を持ち、足元では邪気を踏みつけているという点も特徴です。
秩父札所では、32番・法性寺に毘沙門天を祀る毘沙門堂があります。
弁財天
(画像:楽天市場リンク)
「弁財天」は、もともと古代インドで“川の神”として信仰されてきました。また、川の流れる水の音から“音楽の神”として信仰され、さらに“学問の神“としても親しまれてきました。琵琶を持っている姿が特徴的ですが、その一方で、手が8本あり武器や法輪などを持ったたくましい姿の弁財天像もあります。
秩父札所では、25番・久昌寺に弁財天をまつる弁天堂や弁天池があります。
閻魔王
(画像:札所12番・野坂寺の山門にある閻魔王像)
地獄の裁判官・閻魔様として知られる「閻魔王」は、もともとは古代インドの神様の1つでした。怒りの形相で死者の生前の行いを裁くことで知られる閻魔王。右手に持っている笏(しゃく)は書きつけをするためのものです。
秩父札所では、12番・野坂寺の山門にある十王像の中の1つに閻魔大王を見ることができます。また、19番・龍石寺では、三途婆堂の1つに閻魔大王を見ることができます。
金剛力士
(画像:札所3番・常泉寺の金剛力士像)
釈迦如来の守護神である「金剛力士」。通常は、お寺の入口・山門に配置され、右側が「阿形(あぎょう)」、左側が「吽形(うんぎょう)」の像となります。阿形は口を開き、吽形は口を閉じているのも特徴です。ちなみに、息がピッタリ合っていることを意味する“阿吽(あうん)の呼吸”という言葉は、この阿形・吽形から来ているんです。
秩父札所では、2番・真福寺の納経所の光明寺、3番・常泉寺、4番・金昌寺、5番・語歌堂、10番・大慈寺、24番・法泉寺、25番・久昌寺、31番・観音院などで大きな金剛力士像見ることができます。
七福神
(画像:札所7番・法長寺にある恵比寿・大黒天の木像)
福徳をもたらす「七福神」は、前述の「毘沙門天」「弁財天」に加え、「大黒天」、「布袋」、「恵比寿」、「福禄寿」、「寿老人」の7人となります。インド・中国・日本など様々な国の神様の集合グループで、室町時代に民間信仰として始まったとされています。
大黒天は、手に大きな袋と小槌を持ち、米俵に座っているのが特徴です。もともとは、インドの戦闘神シヴァの化身とされています。恵比寿は、古来より日本の神様で、“豊漁の神”や“商売繁盛の神”としての信仰を受けてきました。右手に釣り竿、左手に鯛を抱えている点が特徴です。
秩父札所では、7番・法長寺に恵比寿と大黒天の木像を拝むことが出来ます。
仏像を楽しむなら、どの秩父札所がおすすめ?
秩父札所では、観音様を中心に様々な仏像と出会うことができますが、各札所の御本尊は、普段は秘仏となって拝むことができません。それでも、仏像の魅力を感じることができる札所は多くあります。この記事では、その中でも初心者でもわかりやすく仏像を楽しめる札所をピックアップして紹介します。
1,300体もの石仏たち(札所4番・金昌寺)
札所4番・金昌寺は、約1,300体にもおよぶ石仏が並ぶ“石仏の寺”として知られています。その中でも有名なものは、子どもを抱いてお乳を与える母親の姿をした「子育て観音」や、酒のみが禁酒を誓った「酒呑み地蔵」です。また、霊的な雰囲気さえ感じる奥の院の石仏群たちも見所の1つです。
札所26番・円融寺の奥の院近くにある聖観音像
札所26番・円融寺の奥の院・岩井堂の近くにある大きな聖観音像。草木が生い茂る山中に、突如現れることもありインパクトがあります。この聖観音像の近くには、かつての修験道の小屋もあります。ちなみに、修験道とは、山岳信仰に仏教や道教などの要素が混ざりながら成立した宗教の1つです。
札所27番・大渕寺の近くにある巨大な護国観音
札所27番・大渕寺の境内の脇には、「琴平丘陵ハイキングコース」という秩父エリアでも魅力的なハイキングコースの1つがあります。大渕寺からは急な山道を15分ほど登っていくと、巨大な観音像が現れます!この像、高さは16.5mで昭和10年に建立されたもの。かつては、大船・高崎などの巨大観音と並び“関東三大観音“の1つだったと伝えられています。この巨大観音像の足元まで行くには、ちょっとした鎖場を登る必要もありますが、山中の高台から見える秩父市街地の景色も楽しむことができるのでおススメです。
ちなみに、札所26番・円融寺の奥の院・岩井堂の近くにある大きな聖観音像も、上記の巨大観音像も、いずれも「琴平丘陵ハイキングコース」の道中にあるので、秩父札所巡りをする方はぜひ一度、仏像目当てにハイキングしてみてはいかがでしょうか?
「琴平丘陵ハイキングコース(影森駅スタート→羊山公園ゴール)」の記事を読む
仏像にも注目して、秩父札所巡りをもっと楽しく
さて、今回は秩父札所巡りの道中で出会う仏像たちを取り上げ、仏像に関する基本的な知識を紹介しました。
もちろん、仏像の世界には、“マニア”とも言える専門家の方たちがたくさんいらっしゃいますのでその知識は及ばないものの、仏像のことが少しでも分かると、秩父札所の楽しみ方にも深みが増すものです。
特に、秩父地方では、地震・火災などの自然災害だけでなく、“信玄焼き“と呼ばれる武田軍の乱入(永禄12年/1569年)・廃仏毀釈(明治元年~10年)・秩父大火(明治11年/1878年)・太平洋戦争(1941年~1945年)などにも見舞われ、多くの寺院が荒廃していきました。
古い仏像で現存するものは大変貴重なものとなりますので、仏像が造られた時代にも注目しながら、秩父札所巡りをもっと楽しんでしまいましょう♪