「お遍路をするとき、保険に加入したほうがいいの?」
「そもそも、お遍路では、どんなリスクがあるの?」
この記事では、そんな方へ向けて書いています。
お遍路(歩き遍路)では、住宅街や交通量の多い国道沿い、自然豊かな山道などを歩くことになります。
特に、四国八十八箇所をはじめ、有名な巡礼道は、結願に至るまで数日間から数十日間もの時間がかかるため、道中ではさまざまなリスクが発生します。
そのため、お遍路をする際、「保険に加入すべきか?」と迷う方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では、巡礼中にはどのようなリスクがあり、どのような民間保険で備えることができるのか?また、保険加入の必要性があるのか?といった点についてもお伝えします。
尚、保険種類の中には、「歩くだけで保険料が安くなる」という健康増進を促す保険商品もあるので、お遍路をキッカケに保険加入を検討する価値はありです。
筆者プロフィール | 内田涼一…国内保険会社のグループ会社に勤務する兼業のwebライター。2012年、レコード会社から国内保険会社へ転職し、これまで生命保険営業、保険代理店でFCオーナーサポート・人事総務を担当。現在は、損害保険のコールセンターに勤務しています。FP2級(損保顧客資産相談業務)。 |
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目次
お遍路をするとき保険には加入すべき?
まず、お遍路をするときに、保険には必ず加入すべきでしょうか?
結論から言うと、保険に加入しなくても、お遍路をすることはできます。
じゅうぶんなお金と必要最低限の装備・食料などがあれば、巡礼中、どのようなトラブルに遭遇しても、おおよそのことはやり過ごせることでしょう。
ただし、徒歩による歩き遍路は、長距離を数日間に渡って歩くことや、険しい山道を通らなければ結願できない巡礼道もあります。
また、お遍路の道中は、自然の多い場所。熱中症・虫刺され・クマとの遭遇リスクなどは、お遍路の経験のある方であれば、誰もが共感できる不安要素の1つです。
つまり、お遍路では、いざというとき保険で力になることができるリスクは間違いなく存在します。
さらに、歩き遍路ではなく、自動車やバイク等でお遍路巡りをする場合には、自動車保険やバイク保険に加入していることが必須となります。
近年では、「健康増新型保険」と言って、歩いた歩数が沢山あれば保険料が下がる仕組みもあります。
長いお遍路旅をする方は、ぜひ一度この記事を最後まで読んでいただいた上で、保険加入を検討してはいかがでしょうか?
代表的な巡礼コースと難所
四国八十八ヶ所
四国八十八ヶ所は、四国にある弘法大師(空海)ゆかりの88か所の寺院の総称です。
1番から23番は“発心の道場”と言われる「阿波国」の徳島県、24番から39番は“修行の道場”と言われる「土佐国」の高知県、40番から55番は“菩提の道場”と言われる「伊予国」の愛媛県、56番から88番は“涅槃の道場”と言われる「讃岐国」の香川県をたどります。
徒歩の場合、結願に至るまでは、計1,200km以上の距離と、平均40日間もの日数を要します。
道中には、険しい山道を登らなければたどり着けないお寺や、ガードレールの無い車通りの激しい道路やトンネルを歩かなくてはいけない危険な場所も多数あるため、ケガや事故などのリスクには注意が必要となります。
何より、1か月以上の長い道のりとなりますので、天候の影響や疲労の蓄積によるアクシデントにも注意が必要となります。
ちなみに序盤で有名な難所は、11番・藤井寺から12番・焼山寺へ向かう「焼山寺みち」です。
“へんろころがし”とも呼ばれる急な坂道スポットが6カ所もある山道を進み、平均でも徒歩6時間かかる難所となります。
秩父札所三十四ヶ所
秩父札所三十四ヶ所は、埼玉県秩父地方にある観音菩薩を祀ったお寺の総称です。
徒歩の場合、結願までに計100km、約6日間もの日数を要します。
三十四ヶ所のうち、多くは秩父市街地にありますが、場所によっては5.6時間もかかるコース(30番~31番)や、誤れば転落し命を落としかねない岩盤の上を歩いてたどり着く観音様のある場所(32番・法性寺)もあります。
また、秩父地方はクマの目撃情報も頻繁にあるため、クマ除け等の準備が必要となります。
西国三十三ヶ所
西国三十三所は、718年に徳道(とくどう)上人が閻魔王から授かった「三十三の宝印」 に基づき霊場を設けたお寺の総称です。
三十三所は、2府5県(和歌山県、奈良県、大阪府、京都府、滋賀県、兵庫県、岐阜県)に点在し、徒歩で結願する場合、30日以上の時間を要します。
難所とされる場所は、4番・施福寺、11番・上醍醐准胝堂(醍醐寺)、25番・播州清水寺です。
坂東三十三観音
画像:坂東三十三観音 公式HP
坂東三十三観音は、源頼朝によって発願され、源実朝が西国の霊場を模して制定した観音霊場と伝えられています。
三十三観音は、鎌倉から群馬まで首都圏を含めた関東各地に点在し、徒歩で結願を目指す場合、約1,300km、10日間もの時間を要します。
難所とされている場所は、21番・日輪寺。この日輪寺は、茨城県最高峰・八溝山(標高1,022m)の8合目にあり、険しい山道を進むこととなります。
その辛さに、昔は山の麓(ふもと)で遥拝を済ませる人も少なくなかったというエピソードもあります。
お遍路中に起こりうるリスクは?
お遍路の道中で起こりうるリスクには、どのようなものがあるでしょうか?民間の保険商品でカバーできる代表的なトラブルを紹介します。
ケガのリスク
お遍路の道中には、険しい山道が多くあります。寺院の境内にたどり着くために、急な階段を上り下りするシーンも多くあります。とても長い道のりとなりますので、歩き遍路の場合、転倒したり足を挫いたりして怪我をするリスクはかなり高いと言えます。
ケガで対象となる代表的な保険
●ケガによって通院や入院をした場合、「傷害保険」が対象となります。
●ケガによって入院や手術をした場合、「医療保険」が対象となります。
交通事故のリスク
巡礼道は、国道や県道など車通りが多いのが特徴です。舗装された山道などは、ガードレールが無い場所も多くあり、スピードが出ている車を気にしながら進む必要があります。さらに、天気の悪い日や、見通しの悪い場所などは、さらに交通事故のリスクも高まります。
交通事故で対象となる代表的な保険
●交通事故によって通院や入院をした場合、「傷害保険」や「交通事故傷害保険」が対象となります。
●交通事故によって入院や手術をした場合、「医療保険」が対象となります。
●交通事故によって長期間仕事を休んだ場合、「所得補償保険」(収入補償保険)が対象となる可能性があります。
●交通事故(車との接触)によって医療機関で治療を受けた場合、自動車保険の「人身傷害の他車搭乗中および車外自動車事故補償特約」が対象となる可能性があります。
熱中症のリスク
お遍路の道中は、山道や田舎道なども多く、場所によっては何時間歩いても休憩できる涼しい場所が無い区間も多くあります。水分を多くとることを心がけ、こまめに木陰で休むなどしても、夏の炎天下の場合、熱中症となってしまう可能性は十分にあります。
熱中症で対象となる代表的な保険
●熱中症(急激かつ外来の日射または熱射による身体の障害)で通院や入院をした場合、総合生活保険や団体生活総合保険に付帯の「熱中症危険補償特約」が対象となります。
虫刺されのリスク
巡礼道の多くは、自然豊かな場所にあるため、季節ごとに様々な虫に遭遇します。春や夏などの温かい時期、長期間に渡ってお遍路を行う場合、虫よけは必需品にもなっています。その中でも、ハチ刺されは特に注意が必要です。
虫刺されで対象となる代表的な保険
●蜂や毛虫などに刺され、通院をした場合、「傷害保険」が対象となる可能性があります。
※蚊やダニに刺されるケースは、日常的に起こりうることから偶然性に欠くとみなされ、「偶然・急激・外来」の条件が必須となる傷害保険は対象となりません。
遭難のリスク
巡礼中は、数々の険しい登山道があります。巡礼道には目印もありますが、遭難してしまうリスクが全く無いとは言い切れません。
遭難により救援を呼ぶ事態となった場合に対象となる保険
●巡礼中、登山道で道に迷い遭難。家族と連絡が取れず、家族が救援を要請した場合の捜索・救援費用、もしくは家族が現場へかけつけた場合の救援者費用は、「登山保険」や「レジャー保険」で対象となる可能性があります。※遭難救助の対象になるのは、警察から遭難救助と認定されて救助活動が行われた場合に限ります。
携行品破損のリスク
自然豊かな巡礼道を徒歩で進む歩き遍路では、デジカメや一眼レフなどのカメラを持って歩く方も多くいることでしょう。登山道や急な階段などでは、カメラなどの携行品を落としてしまい破損させてしまう可能性もあります。
携行品が破損したときに対象となる保険
●カメラを落として破損させてしまった場合、「携行品損害保険」が対象となる可能性があります。
スマホ破損のリスク
近年、お遍路にスマホは欠かせません。地図の確認・写真の撮影・天気の確認・ご飯どころの確認など…巡礼中、スマホを持ち出すシーンは多々あります。長い道中では、スマホを落として液晶を破損させてしまったり、内部が故障してしまったり、といったリスクが十分にあります。
スマホ破損したときに対象となる保険
●階段でスマホを落としてしまい、液晶が割れてしまった場合、「スマホ保険」が対象となる可能性があります。
お遍路中のリスクをカバーする保険商品まとめ
ここからは、お遍路の道中にあるリスクをカバーできる保険商品について、それぞれの補償内容を解説します。
保険会社によって、少しずつ補償内容が変わってくる商品もあるので、あくまで一般的な内容の説明を説明させていただきます。
お遍路以外の日常生活のシーンで役立つ保険も多くありますので、お遍路をきっかけに保険加入を検討してみてはいかがでしょうか。
傷害保険
「急激・偶然・外来」の事故によってケガ(傷害)を負い、通院や入院をした場合、死亡した場合、後遺症が残った場合に支払われる保険です。
基本的にはケガを補償する保険ですが、火傷(ヤケド)・蜂などによる虫刺されなども対象となります。
特約(オプション)によって補償を充実させることができ、「感染症危険補償特約」などがあれば新型コロナウイルスなども補償対象となるケースもあります。
交通事故傷害保険
上記の「傷害保険」の一種で、対象となる事故を「交通事故」に限定した傷害保険です。
交通事故傷害保険における「交通事故」の定義は、一般的に、自動車・バイク・自転車などの乗物に搭乗中の事故、乗物との接触・衝突などの交通事故、駅の改札口内での事故などになります。
熱中症危険補償特約
熱中症(急激かつ外来の日射または熱射による身体の障害)によって、通院や入院をした場合に補償対象となる特約です。
熱中症のみを補償する単体の保険商品ではなく、ケガや賠償責任の保険がセットになっている「総合生活保険」や「団体生活総合保険」などの特約として付帯していることが一般的です。
医療保険
病気やケガで入院や手術をした場合に、支払い対象となる保険です。
特約によって保障を充実させていくことができる点が大きな特徴で、例えば、3大疾病保障特約は、がん・脳卒中・心筋梗塞などの3大疾病にかかったときに一時金が支払われます。
所得補償保険
病気やケガによって働けなくなった際、収入減をカバーするための保険です。
免責期間が決められ、例えば、7日・30日・60日などの免責期間を越えて働けなくなってしまった場合、予め決められた金額が一定期間、毎月支払われます。
尚、うつ病などは補償対象外となりますが、「精神障害補償特約」というオプションを付けることで、うつ病もカバーできる保険商品もあります。
自動車保険
車で巡礼をするときはもちろん、日常生活で車を運転する際は、自動車保険の加入が必要となります。
自動車保険も、様々な特約を付けることができ、「人身傷害の他車搭乗中および車外自動車事故補償特約」は、加入していれば自分が歩行者として車に接触を受けた際のケガも補償対象となります。
登山保険/レジャー保険
登山やレジャーに備えるための保険で、複数の保険種類が組み合わさっているパッケージ商品です。
一般的には、傷害保険・携行品損害保険・個人賠償責任保険・救援者費用補償などがセットになっています。
携行品損害特約
携行している被保険者所有の身の回り品について、不測かつ突発的な事故により損害が生じた場合に補償する特約です。
「携行品」に該当するものとしては、スポーツ用品(ゴルフ、テニス、スキー等)、旅行の際に携行する高価な手荷物(スーツケース、カメラ、現金など)などです。
特約なので、単体で加入することができず、旅行保険・団体保険・登山保険などのオプションとして加入する必要があります。
スマホ保険
スマホの画面割れなどの破損等による修理費を補償する保険です。
保険会社によって異なりますが、水濡れ・故障・盗難紛失・データ復旧にかかる費用も補償対象となる商品もあります。
スマホは、購入時に加入できるメーカー独自の保証プランもありますが、加入できるタイミングが契約時のみの場合や、スマホ保険でないとカバーできない補償内容などもあり、多くの需要があります。
また、スマホ保険は、スマートフォン以外の端末(例えば、スマートウォッチ・タブレット等)も補償対象となる可能性もある点が、魅力の1つと言えます。
お遍路さん向け!?歩くほど保険料が安くなる健康増進型保険
歩けば歩くほど、保険料が安くなる保険商品があったら、あなたは加入してみたいと思いませんか?
実は、そんな歩き遍路さん必見とも言える民間保険商品があることをご存知でしょうか?
「健康増進型保険」とは?
近年、生命保険会社の各社から、健康活動を促すような仕組を持った保険商品が販売されています。
それが「健康増進型保険」です。
代表的な健康増進型保険は、“歩いたら、その分保険料が安くなる!”といった特徴や、“健康診断の結果を提出すると、保険料をキャッシュバック!”といった特徴などがあります。
歩き遍路は、とにかく歩きます。
もし、これから新たに民間の保険に加入を検討していたり、すでに加入している保険の見直しをしたりする予定のある方で、お遍路も行うという方は、ぜひ健康増進型保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか?
健康増進型保険の代表的な商品
(1)あるく保険
あるく保険は、東京海上日動あんしん生命保険とNTTドコモが共同で開発した商品です。
その名の通り“歩くと保険料の一部が返ってくる 健康づくりを応援する医療保険”というキャッチコピーで販売されている医療保険です。
この医療保険に加入することでウェアラブル端末が貸し出され、1日平均8,000歩以上歩くと、半年ごとの達成状況に応じて2年後に所定の健康増進還付金を受け取ることができる仕組みになっています。
ウェアラブル端末は、スマートフォンアプリと連動し、歩数のチェックや体重を入力することで自己管理をすることができます。
まとめ:お遍路するなら保険の加入・見直しの検討を!
さて、この記事では、お遍路の道中には、保険対象となる様々なリスクがある!ということを紹介しました。
すでにお遍路を何度も経験している方であれば、これまで保険対象となるリスクに何度も遭遇したことがあることでしょう。
保険に加入している方であれば、もしかしたら、今からでも保険請求することができる可能もありますので、あらためてこの記事を参考にしていただければ幸いです。
また、これから新たに巡礼を始めるという方は、この記事を参考にしながら保険加入を検討してみてはいかがでしょうか。
しかし、そうは言っても、お遍路をするためだけに、新たに保険ショップなどで保険相談することを考えると「正直、めんどくさい」と思う気持ちもあるでしょう。
そこで、オススメなのが、自宅にいながら保険相談・保険見直しができる「オンライン保険相談サービス」の仕組です!
以下のリンク先では、日本全国に対応しているオンライン保険相談サービスを紹介しています。
巡礼を始める前に、今、加入している保険がどんな補償内容になっているかだけでも確認してみてはいかがでしょうか?