札所三十四番・水潜寺(すいせんじ)は、“結願の寺”に相応しく、山奥の深い森の中にあるお寺です。
札所三十三番から徒歩で目指す場合は、約3時間。
ラストは、峠を越えながら山道を1時間半ほど歩いてようやくたどり着くことができ、大きな達成感を味わうことがきます。
目次
秩父札所34番・水潜寺の歴史/由来
水潜寺のはじまりは、その昔、この地を訪れた僧が、観音様を信仰するよう村人に指示をしたところ、水が沸き出て大干魃(かんばつ)から村が救われたことに由来すると伝えられています。
水潜寺は、“結願の寺”と呼ばれ、日本百観音霊場の最後に訪れるお寺として知られています。
「結願(けちがん)」とは、すべての霊場の巡礼を終えること。
もともと秩父札所は、西国札所・坂東札所と合わせて各三十三の札所でしたが、“百の観音の大悲を一寺に集め御利益を得たい”という願いによって、この水潜寺が、日本百観音霊場の100番目の霊場、秩父札所の三十四番として加えられました。
秩父札所34番・水潜寺の御本尊

御本尊は千手観世音菩薩で、室町時代の作と伝えられています。
像の胎内には、金銅製の阿弥陀如来が納められています。
しかし、創建当時の本尊は、“既に木塊となる“と伝えられています。
秩父札所34番・水潜寺の見どころ
観音堂

宝形造りの観音堂は、江戸時代の文政11年(1828年)の建築。
堂内には、観音坐像があり、子育て観音として信仰されています。
また、欄間には色鮮やかな天女の透かし彫り彫刻、花鳥図が描かれた格天井なども印象的。
百観音のお砂踏み

本堂(観音堂)の前には、百観音宝前のお砂を納めたという“お砂踏み”があります。
この上で拝めば、日本百観音巡礼のご利益が得られると信じられています。
讃仏堂

本堂の脇にある讃仏道で、御朱印をいただくことができます。
水潜りの岩屋(現在は非公開)

現在は非公開となっていますが、観音堂の右の崖下には、「水くぐり(水潜り)の岩屋」があり、かつては巡礼を終えた人が、最後にこの岩屋で身を清めてから俗世に戻ることが習慣とされ、このお寺の名前の由来にもなっています。
崩落の恐れなどがあり、残念ながら現在は入ることができません。
写真は、水潜りの岩屋の入り口。
水かけ地蔵

三十三観音

参道には三十三観音が並んでいます。
六地蔵

金子兜太の句碑

金子兜太(1919-2018)は、秩父出身の俳人。
社会性・前衛性のある作品が話題となり、昭和の時代を代表する俳人として有名です。
秩父札所34番・水潜寺の御朱印

中央の文字は、本尊の「千手観世音」。また、左側には「日本百番結願霊場」の朱印も。
秩父札所34番・水潜寺の御詠歌
萬代(よろづよ)の 願いをここに 納めおく 苔の下より 出づる水かな
秩父札所34番・水潜寺の基本情報
宗派 | 曹洞宗 |
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本尊 | 千手観世音菩薩 |
住所 | 埼玉県秩父郡皆野町下日野沢3522 |
納経時間 | AM8時~PM5時(11月~2月はPM4時まで)※12時~12時30分はお昼休憩。 |
アクセス | (1)秩父札所33番・菊水寺から徒歩で約3時間。 (2)皆野駅から皆野町営バス・西立沢行き「札所前」下車。徒歩3分。 |
無料駐車場 | あり |
トイレ | あり |
自販機 | なし |
秩父札所34番・水潜寺の地図