札所十四番・今宮坊(いまみやぼう)は、札所一三番・慈眼寺(じげんじ)から徒歩で約10分。
慈眼寺の裏の細い通りを真っ直ぐ進み、今宮神社を目印にさらに進むと今宮坊があります。
目次
秩父札所14番・今宮坊の歴史・由来

札所十四番 長岳山 今宮坊(ちょうがくさん いまみやぼう)は、平安時代の永観2年(984年)、弘法大使がこの地に訪れた際、カヤの木で観音像を作るよう告げ、観音像とそれをまつる観音堂を建てたことがはじまりとされています。
かつては今宮神社が管理する別当で、観音堂も今宮神社の境内にまつられていたことになります。
しかし、明治時代の神仏分離令(1868年)によって、現在のように今宮坊と今宮神社とにハッキリと別れてしまったのです。
また、この今宮坊は、江戸時代、秩父にある修験道場の中でも中心となる道場でしたが、修験道廃止令(1872年)も今宮坊と今宮神社が分断される理由となったとされています。
住宅街にひっそりとたたずむ今宮坊は、札所としては少し地味に感じますが、そこには大きな歴史的な意味があったのです。
秩父札所14番・今宮坊の御本尊

今宮坊の御本尊は、聖観世音菩薩で、江戸時代初期の作とされています。
片足だけ座禅を組んだ姿勢の“半跏趺坐(はんかふざ)”の像で、聖観音像としては珍しいタイプです。
秩父札所14番・今宮坊の見どころ
観音堂

三間四面、宝形造りの本堂。
屋根には宝珠が付いています。
輪廻塔

秩父で唯一の輪廻塔(りんねとう)。
輪廻塔は「後生車(ごしょうくるま)」とも呼ばれ、円盤状の石に経文が刻まれています。
この石を回転させることで幸せが訪れ、極楽往生がかなうとされています。
勢至菩薩堂

お堂内で祀られている「勢至菩薩(せいしぼさつ)」は、阿弥陀三尊の右脇侍で、“迷いと戦いの世界の苦しみから知恵を持って救い、その亡者を仏道に引き入れ、正しい行いをさせる菩薩”とされています。
お堂の前にはなぜか狛犬が。
これも今宮神社との分離が関わっているのでしょうか。
秩父札所14番・今宮坊の御朱印

秩父札所14番・今宮坊の御詠歌

昔より 立つとも知らぬ 今宮に 参る心は 浄土なるらん
“浄土”とは、仏教において、仏や菩薩が住む清らかな国のことで、煩悩やけがれなどがない世界を意味します。
秩父札所14番・今宮坊の基本情報

宗派 | 聖観世音菩薩 |
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本尊 | 臨済宗南禅寺派 |
住所 | 埼玉県秩父市中町25-12 |
納経時間 | AM8時~PM5時(11月~2月はPM4時まで)※12時~12時30分はお昼休憩。 |
無料駐車場 | あり |
アクセス | (1)札所13番・慈眼寺から徒歩で約10分 (2)西武秩父駅から徒歩で約15分。 (3)御花畑駅から徒歩で約10分 |
秩父札所14番・今宮坊の地図