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秩父夜祭は神様による不倫デート!?許しを得るための「諏訪渡り神事」とは?

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秩父夜祭と言えば、京都の祇園祭・飛騨の高山祭とともに“日本三大曳山祭”にも数えられる格式あるお祭です。毎年12月2日(宵宮)・3日(大祭)に行われる秩父神社の例祭であり、古くより秩父地域の人たちが守り続けている伝統的な神事でもあります。

しかし、この秩父夜祭には、男女の神様にまつわる少し意外な伝説があることはあまり知られていません。

この少し意外な伝説とは、秩父夜祭の宵宮12月2日19時頃に執り行われる「諏訪渡り神事」にまつわるエピソードです。何が意外なのか?その理由とは、この「諏訪渡り神事」が、男の神様の不倫デートを奥さんに許してもらうための神事…とも言われているからです。

●「え?神様が不倫!?」
●「しかも、不倫を許すための神事?」
●「諏訪渡り神事って何!?」

…はたして伝説の真相は?

あらためてこの記事では、秩父夜祭の神事の1つとして行われる「諏訪渡り」について紹介しています。この記事を最後まで読むことで、秩父夜祭をもっと楽しむための知識を得ることができますよ♪

神様の不倫デート?秩父夜祭にまつわる意外な伝説とは?

はたして、秩父夜祭は神様による年に1度の不倫デートなのでしょうか?そのように言われてしまう理由は?まずは秩父夜祭にまつわる伝説から解説していきましょう。

秩父夜祭の伝説

(画像:御旅所。この御旅所と、秩父神社、男神が棲んでいるという武甲山の大蛇窪は、一直線上の場所に位置している)

伝説によれば、秩父夜祭は武甲山の男神(蛇神・蔵王権現)と秩父神社の女神(妙見菩薩)が、年に一度の逢瀬を楽しむ日であるとされています。

男神と女神は、現在の秩父市役所の敷地内にある御旅所で年に一度の逢瀬をするのです。ちなみに、この御旅所には大きな鳥居があり、その中心には妙見菩薩を表す亀の子石が置かれていますが、この場所で逢瀬を楽しむとされています。

逢瀬(おうせ)とは、男女が密かに会うこと、つまり、デートをすること。そう、秩父夜祭は、七夕の織姫彦星伝説にも似たロマンチックな神事なのです。

(参考URL:秩父神社HP/御祭神・由緒

秩父夜祭が“不倫デート”と言われてしまう理由とは?

(画像:秩父まつり会館)

この秩父夜祭の伝説には、ロマンチックとも言い切れないエピソードも盛り込まれています。

と言うのも、武甲山の男神には正妻がいるとされているのです。正妻とは、つまり、奥さんのこと。秩父夜祭が“不倫デート”と言われてしまうのは、このことに由来します。

余談ですが、七夕の織姫・彦星の関係は「夫婦」です。伝説では、織姫は機織りの仕事、彦星は牛飼いとして働き者の2人でしたが、一目ぼれで結婚した後は仕事をせずに遊びふけるように。これを見た天の神様が、2人を川の両岸に送って離れ離れとなってしまった…というエピソードがあります。

話がそれましたが、織姫と彦星は夫婦なのに対して、秩父夜祭の男神と女神は恋人同士。男神には奥さんがいる訳ですから、どのような背景があるにせよ時代的にもロマンチックとは言い難いものです。秩父夜祭に、こんな伝説があったなんてちょっと意外ですよね。

奥さんにデートの許しを得るための「諏訪渡り神事」とは?

伝説とは言え、男神と女神が年に一度のデートを楽しむ秩父夜祭について、男神の奥さんはどのように考えているのでしょうか?その答えのヒントとなるのが「諏訪渡り神事」です。

男神の正妻は、番場町諏訪神社の八坂刀売

(画像:番場町にある諏訪神社)

伝説によれば、武甲山の男神の正妻は、秩父神社の参道付近にある番場町諏訪神社に祀られている八坂刀売命(やさかとめのかみ)という女神様です。

この番場町諏訪神社は、秩父神社の参道である番場通り沿いの細道を入った場所にあります。住宅街の駐車場の脇にポツンと建つ小さなお社ですが、大きな1本の松の木が目印です。

地域の人々からは、“お諏訪様”とも呼ばれています。

「諏訪渡り神事」とは?

(画像:秩父まつり会館の展示パネルより)

男神の奥さんである八坂刀売命は、男神の不倫デートをどのように考えているのでしょうか?その答えのヒントとなるのが、「諏訪渡り神事」(=「諏訪渡り」)です。

この「諏訪渡り神事」は、男神と女神が秩父夜祭の日にデートをすることを男神の奥さんに許可を得るための神事で、毎年、宵宮12月2日の19時に行われることが習わしとなっています。

当日は秩父神社の神職・番場町会役員・関係者・市場関係者・屋台町会代表者などが番場町諏訪神社に参列し、厳かに儀式を行います。

「諏訪渡り神事」にまつわる伝説

では、なぜこのような儀式を行うようになったのでしょうか?

伝説によると、かつて夜祭の御神幸(最も盛大な神幸行列)を行っていた際、途中で下郷の笠鉾が動かなくなり、車輪を調べるとそこには白い蛇が巻き付いていたといいます。

白い蛇は諏訪神社に祀られている八坂刀売命の化身とされていたため、以後、男神の密会デートに奥さんが気を悪くしないようにと始まった儀式とされています。

また、現在の秩父夜祭における御神幸祭でも、番場町諏訪神社の近く(銀行通りの石橋スポーツの前あたり)を通過する際は、屋台囃子を止める風習があります。これは諏訪神社に祀られている奥さんが気を悪くしないようにという配慮が、伝統・習わしとして伝わったものとされています。

(引用)番場町諏訪神社の由緒書き

ご参考までに、番場町諏訪神社の前に建てられている由緒書きを紹介します。

お諏訪様 諏訪渡神事 十二月二日

妙見祭礼(秩父夜祭)は俗に秩父神社(女神)の妙見様と武甲山神社が年に一度の逢瀬する祭りといわれこのお忍びに気を悪くなさらないようにと祭礼の前日の二日夜に諏訪本宮にお参りして「諏訪渡り神事」が執行されます(江戸時代は祭礼当日の朝に神事が執行されたことが記されています)

この神事は二日午後七時 宮司宅前より高張を先頭に神職・番場町会役員・関係者・市場関係者・屋台町会代表者など参列します

諏訪本宮に向かって太鼓・笛を奉奏しながら進行し この斎場に於いて祭典が厳粛かつ盛大に斎行されます

また三日の夜 屋台と笠鉾がこのお諏訪様の近くを巡行する際はいったん停止し屋台ばやしは休めるという風習は 順路が変わった現在も残っています

 

(MAP)番場町諏訪神社の地図

住所〒368-0041 埼玉県秩父市番場町14−9
アクセス秩父駅から徒歩7分 / 御花畑駅より徒歩4分

 

 

伝説を味わいながら、秩父夜祭をもっと楽しもう!

今回の記事では秩父夜祭にまつわる伝説を紹介しましたが、格式あるお祭りだけにちょっと意外な一面に驚きを感じた方もいることでしょう。

しかし、このような伝説を知っていることで、伝統的な風習、神職による厳かな儀式にも親しみを感じることができて楽しみも増えるものです。

特に秩父夜祭当日は、番場町諏訪神社に訪れ、「諏訪渡り」(2日19時)を観覧したり、3日の御神幸行列では屋台囃子が一時的に止めるところを観覧するなど、通(ツウ)な楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか?

また、2025年はヘビ年(巳年)です。ヘビはお諏訪様の化身でもあるため、番場町諏訪神社は2025年のパワースポットの1つです。つまり、参拝の価値ありですよ♪(☞関連記事:「秩父初詣まとめ\2025年決定版/おすすめの神社やお寺はどこ?」

さぁ、いよいよ今年も秩父夜祭の季節がまもなくやってきます!