札所三番・常泉寺(じょうせんじ)は、秩父の山並みを背に、民家や田んぼが広がる道を進んだ場所に建っています。
札所二番・真福寺の観音堂からは徒歩で約1時間、札所二番の納経所・光明寺からは、徒歩で約20分の道のり。
山道を下り、民家を進みながら横瀬川を越えると、広がる水田…どこか懐かしいその風景に癒されることまちがいなし!
目次
秩父札所3番・常泉寺の歴史・由来

岩本山 常泉寺(いわもとさん じょうせんじ)の創建は、奈良の大仏建立の責任者・行基によるものと言われています。
境内の正面にある横長の本堂は、弘化4年(1847年)の火災で消失しましたが、江戸時代の幕末、安政5年(1858年)に再建されたものが現存しています。
本堂左側の石段を上ったところにある観音堂は、明治3年(1870年)、廃仏毀釈によって秩父神社の境内にあった蔵福寺から薬師堂を移築されたものです。
秩父札所3番・常泉寺の御本尊

観音堂の御本尊は、聖観音です。
弘化4年の火災の際には胸部に火傷跡を残しつつも、なんとか運び出され難を逃れたとされています。
画像は、礼拝用の御前立(おまえだち)です。
秩父札所3番・常泉寺の見どころ
1.彫刻が見事な観音堂

観音堂は、江戸後期、秩父の名匠・藤田徳佐衛門吉久が造営したとされる三問四面の宝形屋根の建物。
龍・鳳凰の彫刻

観音堂の向拝には、玉井(熊谷付近)の飯田和泉氏による見事な彫刻が施されています。
組物に、龍や鳳凰が施されています。
海老虹梁の龍の透かし彫り

“海老虹梁(えびこうりょう)”とは、エビの背中のように湾曲した虹梁(建物を支える構造材)の一種で、鎌倉時代から唐様建築に用いられました。
建物を支える構造材なので、通常であれば大胆な細工はできないものですが、この観音堂では龍に見立てた大胆な彫刻が施されており、全国的にも貴重なものとされています。
2.子持ち石

子供を授かりたいという女性が持ち上げると、子宝に恵まれると伝えられる常泉寺の寺宝です。
現在も誰でも自由に触れることができ、多くの女性が訪れるそうです。
3.子安観音

子持ち石とともに、子育てにご利益のある子安観音もまつられています。
3.長命水

本堂の左手前にある井戸の水は「長名水」と呼ばれ、秩父観音霊験記によると、どんな難病でもたちまちに治ったと伝えられています。
残念ながら、現在では自然環境による衛生面から、飲むことはできません。
4.蓮池

本堂脇にある蓮池も、風情を感じます。
秩父札所3番・常泉寺の御朱印

秩父札所3番・常泉寺の御詠歌

補陀洛は 岩本寺と 拝むべし 峰の松風 ひびく滝津瀬
「補陀洛(ふだらく)」とは、観音菩薩の降臨する霊場を意味する梵語です。
また、「瀧津瀬(たきつせ)」とは、滝のような急流のことを意味します。
秩父札所3番・常泉寺の基本情報

宗派 | 曹洞宗 |
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本尊 | 聖観音 |
住所 | 埼玉県秩父市山田1392 |
納経時間 | AM8時~PM5時(11月~2月はPM4時まで)※12時~12時30分はお昼休憩。 |
無料駐車場 | あり |
アクセス | (1)札所2番納経所・光明寺から徒歩で約20分 (2)西武秩父駅から定峰行きもしくは皆野駅行きで20分「山田」下車。徒歩10分。 |
秩父札所3番・常泉寺の地図