「打つ」とは、観音霊場を巡礼すること、つまり、お遍路をすることを意味します。
これは、古くからの巡礼では、各観音霊場を訪れるごとに、木製や金属製の“納札(おさめふだ)”を本堂や大師堂に打ち付けていたことに由来します。
また、観音霊場を「札所(ふだしょ)」と呼ぶようになったのも、このことに由来します。
現在、納札は紙製のものが一般的となっていて、本堂付近に設置されている納札入れに入れるスタイルとなっているので、納札を“打つ”機会はありません。
しかし、秩父札所16番西光寺の境内には、秩父札所で唯一、室町時代に建築された礼堂が現存しており、その堂内の柱には、木製の納札を打ち付けたと思われる無数の釘跡などを見つけることができます。